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(2)「今、この瞬間」を! | <<戻る | 次へ>> |
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ミヒャエル・エンデは時間のことを「Zeit ist Leben(時間とはいのちです)」と 『モモ』の中で言っています。 漠然としているけれど、何か本質的なことを言っているみたい。 一体、どういう意味なのでしょうか? 『モモ』の中では、灰色の男たちとモモの対比で、時間の意味の違いが 描かれています。 灰色の男たちは、時間を細切れにし、量化して捉えています。 時間が目に見えるものかのように1分、5分、と量的に捉えては その時間内に、急いでやらなければならないことを終えなければなりません。 そこには心の入る隙なんて、もちろんありません。 それに対してモモは、灰色の男たちの意味の時間を気にしたことはありません。 今、目の前にいる人やものや風景に、全身全霊を注いで生きています。 そこには生きた心が感じられます。 今、この瞬間、ここに在り、心臓が脈打ち、何かの意識に集中している… それが「いのち」ということではないでしょうか? そして、まさにそれこそがエンデの言う 本質的な「時間」だということなのです。 でも、よくよく考えてみると、ある瞬間やって来る、その感じ… 捉えようと思うと、どうしても捉えられずもどかしい、 捉えてしまうと、もうその瞬間とは違う気がして… 人間はからだとして生きています。 純粋な意識ではないことを、前回の「エンデとカメさん。」のところで 書きました。 だから人間の「捉えよう」とする認識能力は、 やはり灰色の男たちと似たり寄ったりの、量的な捉え方なのでしょう。 残念ながら…、とも言えるし、有り難くも、かも。 つまり、だからこそ時間には過去や未来という幅ができます。 人間のからだ的な意識から生じる過去や未来… いえ、意識以前に、からだの痕跡であったりします。 何を言っているかというと… 捉えようとした瞬間は、もう捉えた瞬間には過去のものになっている。 だって捉えられて私の頭の中に残っているその瞬間とは、 もう実際のその瞬間ではないのだから…。 もう、それは生きたあの瞬間ではない。 捉えられてしまった過去の瞬間。 その瞬間が楽しいことであったり、喜びであったりしたときは とても残念な気がする。 もうその瞬間は戻らないのだから…。 でも反面、人間はその瞬間をもう一度、頭の中で再現することもできる。 過去を今のものとして味わうことができる。 繰り返し、繰り返し、楽しかったことや嬉しかったことを 反芻できるのも人間の特権といえるかも知れない。 もちろん、その逆に嫌なことや悲しいことを何度も思い出すことも、ある。 しかし、そのような過去が人間の生活に彩りを添えていることも 事実のような気がします。 そして過去は意識以前に、からだの痕跡でもあります。 たとえば自分の食べたもの。 自分の食べたものによって現在のからだが作られている。 一昨日食べたものが、今日のうんち。 過去からの便りです。 今、わたしのからだの細胞が活発に分裂して生きている、 その細胞を作っているのは、半年前にわたしが食べたものにほかならない。 ということは、人間とは、からだまるごと、意識まるごと、 過去や現在を、行ったり来たりしたり、 同時にふたつやみっつの時間を持ちながら生きていることになる。 (未来に関しても同様だと思うが、今回は未来については割愛しました… あまりに長くなってしまうので…。) それで何が言いたかったかというと、 ある人が言っていた、子供の頃の記憶。 遊びとはいっても、子供心ながらに何かを感じ取っていたその瞬間。 とても説明しにくそうに、でもまざまざと浮かぶ その瞬間のことを話してくれました。 そして、そのときの光景。 きっと覚えていようと思っていたのは、 あの瞬間のことだったのかなと思う。 「Zeit ist Leben(時間とはいのちです)」という、あの瞬間。 子供の頃は、そんな瞬間がたびたび訪れたものです。 人気のある平井堅さんの曲に「Sing Forever」というのがあるのですが、 その歌の歌詞に「いつもギリギリとどかない Life」とあるんです。 まさに「Zeit ist Leben」の Leben(英語で Life のこと)にはとどかない。 その瞬間、そこにはいつもとどかない。 でもだからこそ、常に新しく、生きていけるのでしょう。 未来に思いを馳せたり、過去に浸ったりしながら。 またまた長い文章になってしまいました。 読んでもらえないかも…と思いつつも、たくさん書きたいことがあって、 まとまらず、意味の分かりにくい感じになってしまいました。 ごめんなさい。。。 おヒマなときに、是非、ご一読くださいね☆ そして、前回にも出てきた『モモ』の星空の音楽のイメージ、 時間の向こう側についての話も、もっと詳しく書いてみたいんです。 次回に、乞うご期待! 上へ戻る↑ |
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